2010年2月8日月曜日

8日「とても悲しい出来事」

一ヶ月の休暇からルンルン気分で帰ってきたら、
ボラがえらいことになっていた。
2,3日前にハリケーンがボラを直撃し、かなりの被害が出たという。
まず山がまっちゃっ茶になっている。
しかし、一番壊滅的なダメージを受けたのは、外洋のさんご礁である。
タプーは最も行くことの多い、ポピュラーないいポイントである。
今日潜って驚いた。
サンゴがない。
丸ハゲになっている。
もともとオニヒトデにやられて大量にサンゴが死んでしまっていたが、
死んだ珊瑚は骨格が弱い。
少し前から壊れたサンゴが健康なサンゴを壊し始めていたのだが、
この嵐で完全に、徹底的に、もれなくすべてのサンゴをこわし、
平らにしてしまった。
あんまりのひどさに、お客さんをほっといて、
思わずしくしくと泣いてしまった。
いきなり一瞬固まったガイドに不信を抱いたろうと思う。すんません。
しかし、もう回復するとか、そういうレベルではないのである。
小さなサンゴだけではない。
5m相当の大きさの珊瑚岩までひっくり返っているのである、あちこちで。
ゴンゴロ、ガンガン、ゴロゴロ、ズズズー、ゴトン・・・
巨石が石ころのように、波にもまれて、転がされているのを想像する。
こういう想像を絶する自然の攪乱は実はしばしば起こるものだし、
お魚たちは相変わらずの様子で、ダイバーについてくるし、
その辺の裏返った岩をついばんでいる。
しかし、隠れ住む場所も食べ物もなくなってしまったここから、
もうすぐいなくなってしまうだろう。
こんなふうに感傷的になるのは、後悔があるからである。
なぜちゃんとオニヒトデ退治をしなかったのか。
なぜ死んだ珊瑚に壊されたサンゴを早くから拾って保護しておかなかったのか、
そんなことをしても、嵐のありえないエネルギーの前では同じ結果だっただろうが、
それでも、と自分の怠慢を情けなく思うのである。
震える手で、少しばかり残っているサンゴの生きているかけらを
拾って持って帰ってきた。
植え付けをするのだ。
大きな岩がひっくり返って裏側の石灰質の白いところがむき出しになっている。
 
かろうじて残ったサンゴのうえのメガネゴンベ

特に7~8mより浅いところは完全に丸ハゲ
 
突然の住居不足に数少ないサンゴの家に寄り添うサンゴガニたち

0 件のコメント:

コメントを投稿