2009年5月1日金曜日

ボラ便り VOL.1~VOL.5

 ボラ便り VOL.1~VOL.5


ボラ便り vol.1   (2007/05/07)








一週間降り続いた雨は今日ようやく上がり、今日素敵なダイビング日和になりました。ゴールデンウィーク中のこ とで、雨の間に滞在されたお客様には大変気の毒なことでしたが、お天気はどうしようもありませんからね。久しぶりの晴れの日に、ほんとに久しぶりにパス (マンタポイント)でダイビングができました!約一ヶ月近く水が全くにごっていたり、流れがとても速かったり、荒れていたりで、ずっと潜れなかったのです が、今日通りかかったら、久しぶりに水が澄んでいて、底が見える!当然予定を変更して、パスで潜りました。実際は澄んでいたのは15mぐらいまでで、その 下は約5mの透明度。どうかなあ、と心配しながら進んでいくと、いました、大きなマンタが一匹。透明度が悪いときに遭遇するということは、かなり近くで見 れるということ。こちらもゆっくり近づいていったので、向こうもゆったりしたもので、触れそうなぐらいまで近寄ってくれました!しかし、これは運がよかっ たので、一緒に潜ったもう一つのグループは見られなかったそうです。



 雨が過ぎて、気候がいよいよ秋に入ったような気がします。空気が少しすずしい。水温は雨のせいかもしれませんが、27度です。先日の雨のときは、気温のほうが低かったようで、水の中にいるほうが、暖かかったです。気温は天気、朝晩によって、24~30度ぐらいです。



 ダイビングのコンディションはまだ変わりません。外海のほうは透明度がよく、ラグーン内のポイントではほぼ毎回マダラトビエイの群れが見られます。



 ダイビング以外では、昨日までのフランス大統領選で、投票日にはお酒が買えなかったりということがありましたが、選挙も終了し、そういうことももうないでしょう。意っぽいで、毎年7月に行われるフェスティバル「ヘイバ際」に向けて、島の人たちが、音楽、ダンスの練習を始めました。お泊りのホテルによっては、夜な夜な遠くのほうから、太鼓のリズムが聞こえてくるかもしれません。 7月ごろお越しのお客様には是非これを見て行っていただきたいと思います。毎晩コンペが行われるということです。






ボラ便り vol.2      (2007/06/04)



 



5月末からに入り、ボートの上で体に当たる空気が少し涼しくなってきました。日のあたるところでじっとしてると、まだまだ暑いのですけれど。水温は27度です。



天気やダイバーさんの経験などの配慮から、あまりいかないムリムリというポイントでこの間すばらしいダイビングがありましたので報告します。



ムリムリは島の北、ちょうど空港の裏側にあるポイントです。深く、また海面が荒れることが多いので、経験者限
定のポイントです。北のちょうど角に当たるところなので、流れもあり、そのおかげで大物が見られます。普通でもここでのダイブはいいのですが、先日のはす ごかった。私のダイビング経験のなかでもベストの一つになりました。



 



エントリーからいつものようにグレイリーフシャークがダイバーの周りをうろつきます。それから、またいつもの
ように人懐っこいナポレオンフィッシュがダイバーによってきます。この日、いつもと違ったのは、メリディアンホテルで保護されていたカメを私たちの船から
放したことです。しっかりマーキングされ、濡れたタオルに包まれて船に乗せられていたカメ(タイマイ)は水に入ると元気に力強く泳いでいきました。それを
追っていると、別のカメが横切りました。ムリムリではたいていカメの一匹二匹に遭えます。しかし、この日はそのあともまた別のカメが、また違うのが、とい
う風に、おそらく違う5体のカメに遭えました。



 



さあ、エントリー直後から、サメ、ナポレオン、カメと素敵でめまぐるしい出逢いに興奮したダイバーたちとさら
に深く24mポイントへ。砂地が広がりその先には暗いドロップオフが深い深海へと続いています。ここに最近グレイリーフシャークの子供が泳いでるという情 報があったので、探してみたら、いました!50cmぐらいのかわいい子ザメが一匹。



ドロップオフの淵のあたりでは、普通は浅瀬で群れをつくっているギンガメアジのトルネード。



そこに、ここでは珍しいマダラトビエイが5枚ほど横切り、



その先の深い青の奥のほうに、まだ何かの群れが見えます。



こうなったら、今日は少し深く行くぞ、ということで、30mラインまでいきました。



マグロの群れです。70cmぐらいの大きさのが群れで泳いでいきました。



30mラインを流していくと、今度はオニカマスの群れです。



さらにその下をまたマダラトビエイが横切り、そしてまたもやカメが食事している…



安全停止中はまたグレイリーフシャークにぐるぐる取り囲まれました。手を伸ばせば触れそうな距離です。(でもしてはいけませんよ)



 



いやはや、すごいダイビングでした。興奮して疲れました。



この日、同行のビデオマンはさらに深いところまでいき、マグロに囲まれ、また子ザメの群れも見たそうです。



 



実はその次の日もムリムリにいきました。前日ほどではありませんでしたが、それでもまたいいダイブで、このと
きは浅瀬で大きなギンガメの群れに遭遇しました。二つの群れが一瞬一体になり、私は完全にその輪の中にいました。サメがちょっかいを出していて、数匹のギ
ンガメが追い払い作戦を展開しているとき、おそらくサメの一匹が急な攻撃を仕掛けたのだと思います。群れがバッと方向転換しました。(ほんとに音が聞こえ
ました)それが私の方向だったので、ちょっと驚いてしまいました。



 



このところ、マンタポイントのパスは一ヶ月ほどご無沙汰で(透明度が非常に悪くてもぐれません)、タプーとト
プアの繰り返しでしたが、(初めての人にはここも面白いのですよ。特にタプーはもう一つのベストサイトです)久しぶりにムリムリでの大興奮ダイブができま
した。ほんとにいいところなので、いろんな人に楽しんでもらいたいところです。残念ながらボラボラにいらっしゃるお客様は1日だけのダイブ、というかたが
多いので、なかなか行ってもらえません。せめて二日予定してくれていたらなあ、と残念に思います。



長くなってしまいました。



それでは、今回はここまで。



また次回もよろしくお願いいたします。


 




ボラ便り VOL.3      (2007/08/09)



 



今年は穏やかな冬で、ここ1ヶ月非常に安定した天気が続いています。



朝晩はさすがに冷えますが、風のない日中はほんとにいい陽気です。



ただ水温は26度に落ちてきました。



ダイビングもいいコンディションで、最近いいニュースがあります。



以前の「マンタポイント」、現在の「アナウ」にマンタが戻ってきたようで、



目撃情報が増えてきました。ここ数日前から朝のダイビングにアナウに行くようになりました。



今日はその「アナウ」でものマンタととても素敵なダイビングができました。



まず一枚を発見。しかし透明度は
あまりよくなく、遠くにぼんやりとでした。とりあえず、頑張って、しかし静かに追跡しましたが、すぐに視界から消えてしまいました。がっかりしてダイバー
のほうを振り返ったら、ダイバーのすぐ下に別のマンタが泳いでるではありませんか!このマンタは実にゆったりとしていて、たぶんクリーニング中だと思いま
すが、非常にゆっくりと旋回しながら、再び反対の方向に泳いでいきます。私たちはそのあとをゆっくりを追いかけました。幸いとてもマナーのあるダイバーさ
んで、カメラをお持ちにも関わらず、絶対にガイドの前にはでない、という思慮でしたので、全くマンタをびっくりさせることなく、このあとなんと約20分ほ
ども一緒に泳げたのでした。途中上に旋回したりしつつ・・・。



いやはや、私もこれほど長くマンタと一緒に居られたのは初めてでした。



このポイントはまだダイブサイトとして安定してはいないので、そうちょくちょくいくわけにはいきませんが、また「マンタポイント」が帰ってくればと願っています。



もう一つ、わくわくする情報。



一週間ほど前にクジラ目撃の第一報が入りました。



島の西側、ダイブサイト「タプ」付近で見られたそうです。



これからクジラシーズン、一度でもいいから、近くで見てみたいものです。



では、またマンタ情報、あるいはクジラ情報が近々お届けできたらと思います。



 





ボラ便りVol.4     (2007/09/12)



 



今年は穏やかな乾季で、風も強くなく、雨も少なく、非常に暖かでした。寒がりの私は大いに助かりましたが、これも気象変動のひとつ、手放しで喜ぶわけにはいけません。



それにもう一つ、この時期には南からの風と海流に乗ってクジラがやってくる季節なのです。暖かでは、やってきません。



そんなわけで、今年は出現がずいぶん遅れました。



初見は8月下旬でした。



それはそれは大きな興奮が島を駆け渡りました。(海で仕事している者のあいだだけですが・・・)



この時期一部のスタッフは船に携帯を持ち込
み、別の場所で出たという情報があれば、いち早く電話してもらい、現場に駆けつけるという技をやってのけます。残念ながらダイビングのインストラクターは
そこまで勝手には動けませんが、皆さんの了解があれば、急遽ダイブサイトを変更することもありました。



しかしながら、私自身がクジラに遭遇したのは
少し遅れて、実はほんの二日前のことです。はじめ北で見たという電話がかかり、急遽サイト変更、現場近くのダイブサイトに向かうも、そこでは見られません
でした。一本目が終わりボートに戻ると、今はパスの近くを通って南下しているという情報が入っていたので、またまたパスの近くのポイントへ急行しました。
途中南から上がってきたボートがクジラのサインをし、南を指差したので、ますます私たちのボートは文字通り飛ぶように向かいました。



タプを少し通り越した、少しおきのほうで、ついに潮があがるのを発見。あせる気持ちを抑えて、ゆっくりと近づいていきました。脅かしてはいけません。もぐっていってしまいますしね。



2匹いました。大きな背中が水面に現われまた消えました。



一番近い瞬間で約30mぐらいの距離でしたね。



もうなんともいえませんでした。



すぐにも水にジャンプして、そばに行って一緒に泳ぎたい欲求を抑えて、とにかくみていました。



出逢いはほんの2-3分のことでした。



それ以上行くと、途中でガソリンがなくなって、ショップに戻れなくなってしまう恐れがあったので、断念、2本目のポイントに戻りました。



正直、泳いで戻らなくてはならなくても、エンジンがなくなるまで追いかけていきたかったんですが、お客様はまあ泳いでホテルまで帰りたいとは思われないでしょうから、しかたなかったですね。



もう一度、今度は水中で見られる日を楽しみにわくわくしています。



クジラのシーズンは10月ぐらいまでです。










ボラ便りVol.5      (2007/09/30)


 



人生最良の日



 



来た、来た、来た、来たあ~~~!



来ましたよ、ついにクジラが!



前号でクジラ目撃について触れましたが、あんなものではありません。



一度目はムリムリ(北のサイト)の沖。



1ダイビング中からクジラの声が聞こえてましたが、船にあがると沖に潮が吹き上がったではありませんか!! そらいけっ !てなもんで、ボートを走らせましたね。例のビデオマンも大興奮です。近づくとなんと3頭でした。前方に大きな背中が海面からせりあがります。



尾びれが水面から突き立ち、沈んでいきます。



「おおおお・・・!!」



3頭はゆっくりと泳ぎながら北上していました。



時々水面に現われては、また潜行します。



私はボートの屋根にのぼって探しました。



突然、ぶほっという息をはきながら、ボートの真横に浮上してきました!大きい!



「ああああああ・・・・、ま、ま、でた!」



人間、大きいものに遭遇すると、言語障害になります。



ボラボラで見られるのはザトウクジラです。



背びれが小さく、胸鰭がとても長い。そしておなか側が真っ白い。水面から見ると透き通った碧い水の下に体の白い部分が透けて見えます。



3頭がボートの前に近づいた隙に私一人水に入りました。



目の前を大きな一頭が泳いでいきました。



ゆったりと体をうねらせて、あっという間にブルーの中に消えていきました。



初めてクジラを自分の目で水の中で見ました。テレビで見るような光景です。10秒ほどのことでしたか、なんだかすごすぎて、夢でも見たようでした。



私たちは約1時間ボートの上からクジラを楽しみました。



 



しかし、話はこれで終わらないのです。



その約一週間後、今度は約1時間一緒に泳いだのです!!



3頭(親子と若いの)とずーっと途切れることなく、水の中で一緒に過ごしたのです。



奇跡です。



水の中といっても、もちろん私たちはスノーケルです。



その日クジラの周りにはたくさんのボートがいました。はじめはゆっくり泳ぐクジラを距離を置いてついていきました。途中何回か数人が水の中にジャンプしましたが、クジラはすぐに水に潜ってしまいます。



そうです、彼らはほんとに泳ぐスピードが早いんです。巨体をほとんど動かしていないように見えて、ほんの少しの動きであっという間に水の向こうに消えてしまいます。こっちはフィンをつけて、全速力で泳いでいますが、追いつくのはまず不可能です。



30
ほどそうしていたでしょうか。再びクジラがボートの近くに来たとき、みんな水に飛び込みました。3
頭はすぐ潜ってしまいましたが、水中で3頭が並んでまたゆっくり浮上してきたところが見えました!白いおなかをこちら側に見せて、本当にゆっくりと浮上し
ながら、私の視界から消えました。これだけでももうすばらしかったのに、なんとここで
3頭は進行を止めたのです!前方で潮があがったので、そちらのほうに全速力で泳いでいくと、再び3頭を水の中で確認!そこから約
1時間、彼らは私たちと一緒に過ごしたのです。



若いメス(だと思います)は大変 好奇心が強く、あがったり、下がったり、くるくる回りながら、何度も私たちのほうに近づいてきます。何度も目が合いました!一度など、ほんとに手を伸ばせ
ば触れるところまで来たんですよ!心臓がどきどきして、何がなんだかわかりませんでしたね。ちなみにクジラにあまり近寄るのは気をつけたほうがいい。クジ ラの体の回りには強い海流が生まれます。うっかり巻き込まれかねません。それでも、やはり近づきたいのが人情ですね。



クジラのお母さんはさすがに警戒 を解きません。子供を必ず自分の体の影にして、あまり動かずじっとしていました。時々一緒に息を吸いに水面まで上がってきます。そしてまた水中で一緒に泳
ぐのですが、ときどき、何人かが素潜りで親子のほうに近づくと、お母さんは両手を広げて立ちはだかるようするのです。クジラは本当に子供を大切にします が、まさに目の当たりにしました。



それにしても、クジラがあんなふ
うにくるくると遊びながら泳ぐものとは知りませんでした。とても好奇心が強く、遊び好きなんですね。横を向いたり、おなかを上に向けたり、水面からひれを
出したり、鼻先を突き出したり、とにかく普通の体勢で泳いでいることがほとんどない。明らかに私たち人間を意識していて、クジラが人間を見ているのです。
そして、明らかに魚とは違う胸鰭の動き。まさに手のような使い方です。黒と白の美しい流線型の体に、一度も開けることはありませんでしたが(開けたらさす
がに怖い・・・)、目の下まである大きな口。その上の目。クジラと目を合わせることができるなんて、考えたこともなかった。



奇跡のような時間でした。水から顔を上げることも忘れ、クジラとの時間を過ごしました耳が水面下に入ると音は消えます。自分の呼吸だけ。青い静かな世界の、本当に美しい時間でした。



終わって、人間側は子供のようにはしゃいでました。



その日、風はなく、空は晴れわたり、空気は澄み渡り、オテマヌ山がすっきりとそびえ、遠くタハア、ライアテアも近くに見え、夕方、赤い夕日は雲のない水平線にとっぷりと沈みました。



完璧といっていいほど、それはすばらしい一日でした。






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