2009年5月1日金曜日

ボラ便り VOL.11~VOL.15

ボラ便り VOL.11~VOL.15


ボラ便りVol.11 (2008/10)







気がつけば、ハイシーズンが終わってしまいました。クジラの季節が終わってしまいました。



 クジラとの感動的な出逢いをご報告してからもう一年がたちました。今年は去年に比べると、目撃回数は少なかったのですが、一回一回の内容が濃かったです。去年のように1時間も3頭のクジラを過ごすことはありませんでしたが、やはり親子が浅瀬で休んでいるところを15分ほど覗かせてもらいました。通常子供が一緒だと母親は警戒していて、子供を隠すように泳いだりするのですが、このときはどうもお疲れの様子で、子供をほったらかしで、底でお休みになっていました。ほおっておかれた子供は、息継ぎを頻繁にしなければならないので、ちょくちょく水面まで上がってきては、好奇心もあって、こちらの様子を見にきたりするのです。体のわりにつぶらな瞳をこちらに向けて、浮いたり沈んだり、回転したり、ヒレを動かしたり、水の中をそれは気持ちよさそうに、楽しそうに、のびのびと動き回ります。しばらくして、母親のところに下りていって、ミルクをもらっていました。授乳して目が覚めたのか、のっそりと動き始めると、そのまま一緒に泳ぎ去っていきました。クジラバカで、ビデオマンのサイモンがすばらしい映像を撮っています。



 後日のこと、ボートのかなり前方に潮が上がったので、近づいてみましたが、深く潜ってしまったようでした。とりあえずボートのエンジンを切ると、



「みー、みー」



という声が。



「ん?子猫?いやいや、ここは外洋、海の真ん中。ん?」



クジラを見失ったと思ったのですが、そのときもまたボートに乗っていた、クジラバカで、ビデオマンのサイモンが、水に入っていきました。入るやいなや、水面でなにやらわめきだしました。



「ま下!すぐ下にいる!」



すぐさまスノーケルとフィンをつけて、水に入ります。



大きなクジラが10mほどのそこで休んでいました。しかしなにごとかつぶやいているのです。



「ぼーーーーー(超低音)、みー・・・(超高音)」



猫の声と思ったのは実はクジラの声でした。クジラ語を人間の言葉で書き表すことはできませんが、「ぼーーーーーー」というときには、こちらの体にどどどんと響いてきます。「みー」はイルカの声をテレビなどで聞いたことあるでしょうか。あんな感じです。子猫の声です。どどどん、とくるのは、さすがに迫力がありました。本当に内臓が振動します。彼は(勝手にオスだと思ってますが)どこのだれと話していたんでしょう。



 10月も半ば、もうクジラも去ったかなと思ったつい昨日のことです。ハピティというポイントで、安全停止をしているとき(水深5m)、私たちから10mほど離れたところを大きなクジラが通りかかりました。ダイバーを見て、びっくりしてすばやく去っていきましたが、こっちももう・・・・・涙がでるほどびっくりして、そしてうれしかった・・・・!





10月現在、ボラはいいお天気が続いています。水温も少し上がって26-27度です。








ボラ便りVol.12  「パス復活か?!」            2008年12月






 日差しが肌に痛い、私の大好きな季節になっ てきました。今年の11~12月は去年より暑いですね。おかげで水温が上がって28度から浅いところでは30度行くこともあります。でも日本からいらっ しゃる皆様は日焼けに気をつけてください。5分でくっきり焼けます。すでに黒い私ですら一皮むけました。ま、薄~くですが。



 ここ1年、ろくに潜ることができなかったパスが11月末からいいコンディションが一週間くらい続き、で、潜ったら、マンタです!初日は一枚。かなり長く見ることができ、、かなり近づいて、一度は真上を飛んでいってくれました。何度見ても、やっぱりいいですね、マンタ。



やっぱりいいですね、パス。



その後も2枚、3枚見ることがありました。



優雅です。マンタ。



たいてい中から外に向かって泳いでいますが、また旋回してくるりと戻ってきたりすると、また見られて楽しみ倍増です。



マンタだけじゃありません。ネムリブカはいつ もの場所でおやすみですし、オニカマスの群れ、ギンガメアジの大群トルネードが迫力だし、またドロップオフ沿いにはハタタテダイの群れがかわいいし、エン トリーポイント付近でよく大きなナポレオンが見られます。ほとんど一年前の以前とほとんど変わらず、ほっとしました。



 パスでまともに潜ったのはほぼ1年ぶりで す。なにが原因だったのかわかりません。でもこの一年はパスの流れがおかしく、常に中から外で、透明度が問題外に悪く、ずっと潜れませんでした。いえ、 1,2度、いつもよりはマシだ、ということで無理やりチャレンジしてみたことはありましたが、さっぱりでした。マンタはいたのかもしれません。でも5メー ターぐらいの透明度では運よくかなり近くで遭遇しないかぎり、見つけることは難しかったです。もともと月に数回ぐらいしか潜れないポイントでしたが、今年 は異常でした。アナウのマンタも、今年の1月一週目を最後にぱたりと姿を消していました。ですから、私もまともにマンタに遭遇したのはほとんど11ヶ月ぶ りだったのです!



 実はこのときボラボラの天気はよくありませんでした。雨が約一週間つづき、いろんなアクティビティができないような状態で、でも、パスのコンディションだけが最高の幸運に恵まれていたのです。



 しかし、油断は禁物。このコンディションも いつまで続くかわかりません。その後の雨でまた透明度が落ちてきています。また、今まで中から外への流れのおかげで防げていたかもしれない、オニヒトデの ラグーンへの侵入が、心配です。パス内ですでにいくつか目撃しました。ラグーンのなかのサンゴ礁は外洋とは全く違って、本当に美しいのです。これだけはな んとか守らなければと思います。












ボラ便りVol.13    「暑いボラ」              2009年1月6日






あけましておめでとうございます。



旧年中は大変お世話になりありがとうございました。



今年もどうぞよろしくお願いいたします。



四季のない南国では、時季のくぎりもはっきり なく、なんとなく気がつけば年があけてしまっていた、という感じです。今年は気候が乾燥ぎみで、もう2-3週間雨が降りつづいてもいい時期なのに、いつま でも散発的な雨だけで、すぐに強い日差しがさしてきます。といっても都会のヒートアイランド現象はありませんから、日陰にいれば涼しい、気温30度ちょっ と、水温は28-9度ぐらいです。お客様にとっては雨が少なくて大変結構なのですけれども、本来この時期に来るべきハリケーンも過去2年たいしたものは来 ていません。お客様から聞くに、日本もヨーロッパも気候が急速におかしくなってきている模様。歯止めがきかず、加速度的にすすむ温暖化の影響以外には考え られない現象でしょう。



先日ボラボラのメリディアンホテルにて、カメ センターの責任者セバスチャン氏を中心とした環境保護的NGO団体「ケロニア・ポリネシア」の立ち上げ式がありました。「環境保護的」と表現したのは、実 はあまり「保護」活動が中心ではないので、まず柱になる活動は、彼の専門で、グループの名前に「ケロニア」、つまりカメの学名がつけられている通り、アオ ウミガメの調査・保護活動です。代表のセバスチャンはカメと環境に関してとても熱い男です。そんなわけで、そのほかの活動に、



ポリネシアに生息するサメの研究・調査



密漁・乱獲が心配されるメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)の保護・調査



ザトウクジラの調査(ハワイ大学と提携)



マンタの調査・保護



サンゴの植樹など保護活動



地元の子供、観光客に対する環境教育・啓蒙活動



などなど、とても盛りだくさんになってしまいました。



 私も立ち上げメンバーに入らせてもらってい ますが、ダイバーとしての役割は、まず毎日潜るなかで、アオウミガメ、ナポレオン、クジラなど見たら報告することです。アオウミガメにしても、マンタにし てもここ1-2年で急激に減っています。個体数が減っているというよりも、開発の進むボラボラから他の静かな島に移動していったようです。



 環境保護と観光業とは実はなかなか相容れな いというジレンマがあります。でも、この美しい島にはぜひ来ていただきたいし、また来ていただくことで、この南の楽園がみなさんとは全く関係のない場所で はなくなり、この島をできるだけ長くみなさんの思い出のなかにある姿のままに保つために、力を貸していただけるのではないか、と思っています。



 話はまた戻りますが、雨季に来ざるをえない お客様へ。ボラには川がないので、雨が降っても透明度にたいした影響はありません。いるお魚も同じです。雨季でも乾季でもダイビングは同じように楽しんで いただけます。また雨の日こそ、ダイビングが最適なのですよ!海のなかは雨が降りません!一緒にボラの海の中を見ていってください。そしてそれを守るため に何ができるか一緒に話しましょう。












ボラ便りVol.14 (2009/02/26)







前回にもふれましたが、今年の雨季は非常に雨が少なく、ここ最近もとてもいい天気が続いています。水温も暖かくなって28~29度ぐらいです。この寒がりの私がショーティで水に入れます。



今回は少しボラから離れたお話をします。



実は1月中旬から1ヶ月休みをいただきまし て、トアモツ諸島にある、アヘ、マニヒ、ファカラバ、ランギロア、ティケハウという5つの島をまわって来ました。ランギロアは有名ですし、マニヒ、ティケ ハウもダイビング雑誌で何回か紹介されていて、ポリネシア本来の素朴さを残した、静かで、素敵な島々です。アヘ以外の4島で潜りました。サイズ以外は似た ような環礁の島なのに、それぞれに違いました。すべてを紹介するのはここでは無理ですが、ツアモツのダイビングはとにかくダイナミック。あえてそれぞれの 特徴を一言で言うならは、マニヒ:魚の群れ、ファカラバ:サメのマーチ、ランギ:イルカ、ティケハウ:マンタ天国。今回、なんと私の夢が二つも叶いまし た。ダイビングでイルカと泳ぎ、そしてハンマーが見られたのです。



どこもパスのダイビングがメインで、パスで潜 れないときは外洋のリーフを流します。リーフは健康で美しいサンゴに覆われていて、色とりどりの魚たちが舞っています。リーフはそれほど広くなくて、すぐ にドロップオフになっていますが、それほど流れもなく、のんびりと楽しめます。(ランギは別。イルカが出た日にはブルーに向かって猛ダッシュをかけま す。)



パスに入れるのは、外から中への流れのときだ けです。外への流れのときは滝のように外洋そこに向かって流れ落ちるのだそうです。パスの底を見るとよくわかります。ボラのパスと違って、トアモツのパス はサンゴがなくなって、砂が滑り台のようにドロップオフに落ち込んでいっています。流れが中に向かうとき、その流れにのって大物たちがパスに近づくので す。ランギならイルカたちが波乗りに集まってくるというわけです。今回の目玉はイルカのほかに、ファカラバでの何百というグレイリーフシャークの行列、そ してティケハウでのシルバーチップ、そしてグレートハンマーです。またファカラバのパスは世界で一番広いパスといわれ、2kmの幅がありますが、パス内の サンゴがとてもきれい。その中ほどに「アリババプレイス」と呼ばれる場所があって、つまり宝物がある場所で、流れから少し守られた魚の楽園、ものすごい大 群のフエダイなどが集まって、ゆーったりと漂っているところに、ときどきナポレオンはネムリブカが通りかかりるのです。ボラでは見られないようなウミウシ なんかも見つかったりして、ずーっとここにいたい、と思ってしまいます。



ティケハウには思わぬものがいました。巨大なオニダルマオコゼ、カクレハオコゼ、それにちょっと珍しいライオンフィッシュです。マンタポイントは浅く流れもない場所で、遭遇率もほぼ100%。



海の豊かさとは対照的に、陸は人が住むには乾 燥した厳しい土地です。水は雨だけ、ココナツと少しの木以外、野菜や果物は育たない土地。(土がない)大きな波がしぶきを上げて打ち寄せる荒々しい外洋 側。それでも、家の周りにきれいな庭を作る、穏やかで、人懐っこい人たち。碧い海と空さえあればいい、何もない贅沢を楽しめる人の場所です。












ボラ便りVol.15     コーラルガーデンの住人 (2009/04/30)






私の一番好きな季節が来ました。4月5月が天気が一番落ち着いていて大好きです。



今日は体験でも見られる、ボラのラグーンの住人のことをお話しましょう。



トプアというポイントがあります。スノーケル のときはコーラルガーデンと呼ばれているところです。ダイビングでは少しはなれたところからドリフトして、最後はコーラルガーデンのきれいなサンゴと白砂 の浅瀬でほっこりして終わります。ここは体験ダイビングでも使われる、大変人気の場所です。



ダイビングではマダラトビエイが見られるところとして有名ですが、実はそれ以外にもたくさん面白い住人が大小います。



ドロップオフの下の砂地にはとても人懐こいキヘリモンガラがいて、ダイバーが来るとむこうのほうから、ぱたぱたた~っと泳ぎよってきます。私たちの追いつくと、ふわーっと周りをうろうろします。まあエサをねだってるのですが、なくても来る、とてもかわいい子たちです。



 次の面白い子はドクウツボです。ドクウツボ なんてどこでもいっぱいいるのに何がおもしろいねん、と思われましょうが、マダラトビエイ谷にここ最近いる少し小ぶりのその子はカメラに興味があってしょ うがない。ビデオカメラやカメラを向けると、ぐぐ~っとクビを(体?)を伸ばしてレンズを覗き込むんです。これはか、かわいい・・・!



 同じ種でも、自然の中でも、本当にそれぞれ 個性があるんですね。特に好奇心の強い子というのは見ていてかわいいもんです。ウツボなどは凶暴というイメージで、日本人受けが悪いのですが、少なくとも 私が見てきたウツボはとても小心者です。ダイバーが近づくとすーっと穴に引っ込んでいきます。



 またコーラルガーデンにはボラで最大のウツ ボがいます。長さ1.5mぐらいのとても太い子ですが、タヒチアンたちはそれを抱き上げて、無理やり水面まで連れて行っちゃうのです。噛まれるんじゃない かと思いますが、その子はするりと手から逃れると、いやあーっとばかりに自分の穴にすっ飛んで戻ります。



 ボラでは大物がメインですが、よーく見ると、ヨウジウオやカクレハオコゼなどの小さい住人もいます。カクレハオコゼはここでは結構稀なので、お客様よりスタッフのほうが大興奮して見入ってしまう始末です。



 またオニカサゴもコーラルガーデンでよく見 られます。小さいのから立派なのまでいますが、岩の上でじっとカモフラージュしていたり、砂をかぶってカモフラージュしていたりします。地味なお魚です が、胸鰭の裏側が目にも鮮やかな色彩をしていてびっくりします。申し訳ないけれども、ちょっとつんつんして、動いてもらってそれを見せていただきます。あ まり泳ぎのうまい魚ではなく、砂地や岩の上を胸鰭を使って、のそピョン、のそピョン、と不器用に移動する姿がまた愛らしい感じです。ちなみに背びれには しゃれにならない強烈な毒があるので、触ってはいけませんよ。



 あと時々砂の上に、モンダルマガレイが潜んでいます。コーラルガーデンでは手のひらサイズほどのかわいいのが見つかります。そっと近づくと、そっと動きます。



サンゴ周りだけじゃなく、真っ白な砂の上にもよく目を凝らすと生き物がいっぱいです。



 じっと観察してみてください。



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